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クーラーのきいた広い図書室は、雷蔵の委員会のお仕事の場。
静かで、誰もが自分の世界に浸っている時(それは本やら勉強やらでだが)、その中で一番俺が自分の世界にはまっていると思う。
(雷蔵は何て可愛いんだろう・・・。)
最近ずっとこんなことばかり考えている。
雷蔵のカウンターで利用者を待ちながら、本を読みふける姿が、こんなにも胸を締め付ける。
あぁ、思えば雷蔵とは長く歩んできたものだ。
何も考えず、ただ雷蔵といられて幸せだと手を繋いで走り回った少年期。
雷蔵の笑顔を見るだけで、胸のときめきともやもやを感じて不思議に思った思春期。
そして、それは恋だと気づいて、雷蔵を自分のものにしたいと思い悩む青年期に入った。
本当にこれは自覚してからは辛い、辛すぎる。
雷蔵は本当に優しい、だがその分鈍くて、ときにその鈍さが胸に突き刺さることもしばしばある。
はぁー・・・と溜め息をついて図書室の机にへばりついていた三郎のところへ、いつの間にやらそっと横にきた雷蔵が小声で話しかける。
「おまたせ三郎、中在家先輩が今日はもうあがっていいって。」
「ホントか!!」
嬉しさのあまり出た三郎の大声に、長次がギロリと睨み、慌てて雷蔵が口を塞ぐ。
しぃーっ!っと人差し指を自らの唇にあて、静かにするように言い聞かそうとする雷蔵が、三郎には悶えるほど可愛く見え、さらに自分の唇に感じる雷蔵の掌の感触と温かさが三郎を興奮させて鼻血をふきそうになる。
「それでは・・・。」
あがる挨拶まで小声で雷蔵は長次に頭を下げ、三郎とともに図書室を出た。
クーラーの部屋を出た後の特有の蒸し暑さに、一瞬二人ともじとっと顔をしかめる。
「どこに行く雷蔵?教室?売店?」
さっとじと顔からニコニコご機嫌の笑顔に変わって三郎が雷蔵に尋ねたが、雷蔵がう~・・・と迷い出したので、まずいと雷蔵が一番好きだといっていた場所を言う。
「じゃぁ、屋上行くかッ!」
「あー気持ちいいー・・・!」
雷蔵は両手を広げて自分の身体を通っていく風を感じていた。
もっとと、フェンスにまでよじ登ろうとしたから、危ないぞ!と三郎が軽く怒ったのでしぶしぶやめた。
人工的な涼しさではなく、自然の涼しさは雷蔵にとってとても心地が良かった。
夏の青くて流れの速い空、見渡す街並み、ここから見えるものは些細なものかもしれないが、どこか心を和ませた。
「ここ、やっぱり好き。だーいすき。」
「おー、雷蔵が言うなら俺もだーいすき。」
「何それ~。」
キャハハッと明るく笑いながら、雷蔵は座った三郎の背中に自分の背中を合わせるようにしてもたれかり、自分もその場に座る。
こんな暑い中くっつかんでもいいだろうに・・・とは思うだろうが、暑かろうがどうだろうが、こんなふうに相手に触れているという状態は、二人にとって普通のことだった。
だからこそ三郎は苦しいのだ。
このまま振り返って、押し倒したい。
雷蔵は最近マシュマロばかり食べて・・・はっきり言う、ムラムラする。
そんなに他人の唇の味感触を知りたいか?なんて言いながら雷蔵のあごをすくって、雷蔵の唇に自分のそれをあてる。
初めてのキスの感覚に雷蔵はとろけていくだろう、とろけさせる自信はある。
・・・今か?もういっちゃうか?どうする?どうする俺?
「ねぇ三郎。」
「な、何だ雷蔵!」
不謹慎なことを考えている最中に、いきなり話しかけられて三郎はどもり、声を裏返させる。
心拍数が上がった気がした。
「・・・正直に答えてね。」
「・・・?あぁ・・・。」
いつになく真剣な雷蔵の声、そりゃ、雷蔵はいつも真面目で良い子なのだが、普段の柔らかい雰囲気があまりなかった。
雷蔵のほうを向きたかったが、先に雷蔵にこっちを向くなといわれてしまう。
「らい・・・?」
「・・・僕と今の彼女、どっちが大切?」
風が二人の間を通っていった。
ぺったりとくっつけていて、風など通っていく間などなかったのに、雷蔵は背中は合わせつつも、うつむいて頭を三郎から離していたから。
その言葉に三郎は目を見開く。
頭の中は真っ白、背中越しで震える雷蔵の身体。
「雷蔵、それは・・・」
「ご、ごめんっ!変なこと聞いてッ!違うんだ、あの、その・・・。」
「雷蔵。」
名前を呼んで、雷蔵の方を振り返って、体育座りで顔を膝に埋めている雷蔵を自分のほうに向かい合わせる。
そっと雷蔵の腕に触れて、その下の頬に手を這わす。
「雷蔵。」
「・・・う・・・。」
そこからは真っ赤になった雷蔵の顔が出てきた。
耳や目元まで赤く染めて、湯気がたっていそうなほどで、三郎は心臓が跳ね上がるのを感じる。
「僕、知ってたんだ、三郎に彼女がいること。・・・でもコロコロ変わるってことも。ずっと考えてた。僕と三郎のこと、ずっと。・・・だから最近疲れてるのかな・・・だから部活も、って・・・アハハッ関係ないかも、しれない、けど・・・ううん、違う、僕が言いたいのは、そんなことじゃなくて・・・・。」
三郎とは目を合わせず、真っ赤のままわっとまくしたてた雷蔵だったが、語尾はどんどん小さくなっていって、終いにはまたうつむいて額に手を当ててしまった。
三郎は雷蔵の言葉を待った、その続きの言葉を。
「・・・ずっと、僕を傍においてくれる・・・?三郎に彼女がいても、ずっと・・・。」
雷蔵の声が震えていて、ポタポタと落ちる雫をみて、泣いているのだとわかった。
雷蔵が泣いている、俺と自分の関係を考えて、泣いている。
なんといじらしく、残酷なことか。
「・・・もちろんだろ。雷蔵、俺は星の数の女より、たった一人の、かけがえのないお前の方が大事だ。」
「さぶろ・・・」
雷蔵が頭をあげきる前に三郎は雷蔵の頭を抱え込み、自分の胸に押し当てた。
雷蔵の髪の匂い、やわらかさ、温かさ、全てが愛しい。
こんなにも好きなのに。
「じゃぁ、じゃぁ、三郎はずっと僕の親友でいてくれる?一生?」
その言葉が、心にナイフを突きたててえぐるんだ。
「あぁ、ずっと、ずっとお前と一緒にいる。・・・いたいんだ、いさせてくれ。」
「よかったっ!!」
腕の力を緩めると、パッと頭を上げて、いつもどおりの輝く笑顔を俺に向けた。
目が赤くなって、涙の名残か潤んでいる。
三郎の腕の中をするりと抜け出した雷蔵はすっくと立ち上がって、また両手を広げて流れる風を感じだす。
上を向いて、あー・・・と少し声を出してから、立ち上がった三郎に向き直った。
「・・・ずっと親友、大親友だから、三郎。」
「・・・あぁ、嬉しいよ。」
太陽に背を向けているものだから、風に弄ばれるお前の髪が、キラキラ光って金色に見える。
笑顔が輝いて、眩しくて、俺は目を細める。
ずっと親友の檻から抜けだせない、だがその中にいるのなら、雷蔵の隣は保障される。
でも愛したい、お前を。
この腕で壊れるほどに抱きしめて、口付けたいんだ。
「さぁ・・・そろそろ帰ろうか。今日、僕部活ないから。」
「あ、雷蔵、先戻って帰る準備してろよ、俺もう少しココいるから。」
「?わかった~、三郎の分もしとく!」
バイバイと無邪気な笑顔で手を振って、階段を下りていく雷蔵の足音を聞きながら。
青空の下、崩れ落ちるように座り込んで。
俺は初めて、声をあげて泣いた。
日本語でお返事しても大丈夫でしょうか?
海外の方との交流は初めてです!
こんなときにインターネットのすごさを感じます!
私の小説はあまり上手ではありませんが、読んでくださっていることに感謝しますvv私も鉢雷大好きですvv
拍手機能は少し難しいですからね~。
一回目の拍手のコメント欄がいっぱいになったら二回目の拍手のコメント欄に書き込めんでください、そしたら私はわかりますよvv(≧∇≦)
わざわざコメント本当にありがとうございました!
とても嬉しかったです、これからもがんばりますvv
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でもできるだけ閲覧者の方々には敬意をはらいたいと
思ってます。よろしくお願いしますvv