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忍たま乱太郎の5年生コンビを中心に取り扱った同人ブログです。最近は雷蔵がアイドル状態。 女性向け表現がありますので注意してください。
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タァンッ!

「雷蔵先輩、調子戻ったんですね!よかったです!」

「あ、ありがとう。」

的のど真ん中を射て、ちょっと眉を下げて後輩の言葉に微笑むが、実は雷蔵はやっと調子が戻ってきそうでホッとしていた。
朝練のほうが何も三郎と関わっていないので、落ち着いて弦を引けるのだ。
まぁ・・・朝練に行くとは言っていないので、ケータイは三郎からのメールでいっぱいなんだろうが。



「ら~い~ぞ~っ・・・!」

案の定、ケータイは三郎からのメールでいっぱいだったし、三郎は教室に戻ってきた雷蔵を見て恨めしそうに名を呼んだ。
雷蔵はあは・・・とごまかすように笑い、自分の机にだらりとうつぶせになっている三郎の横に立った。

「何で朝練に行くのなら行くとメールしてくれないんだっ!!俺はずっとお前の家の前で待ち続けたんだぞっ!!」

「ごめんね、忘れてて。部活がどうもね・・・上手くいかなくて・・・。ホラ、大会があるじゃない?」

「あぁ・・・そうだったな・・・。応援に・・・・・・・・・・・・・」

三郎はそこまで言って固まった、石のように。

「三郎?」

「い・・・・いけねぇぇぇぇ!!!!しまったぁっ!!!!野球部の助っ人引き受けちまったっ!!!!」

三郎は頭を抱え、うおおおおおっと叫びながら悶え、野球部のくりくり頭にめがけて筆箱を投げつけようとしたので雷蔵はとっさに止めた。

「大丈夫だよ!!そこまでしなくても!!たまたま重なっただけだしっ三郎もがんばってっ!!!」

いつも応援に来てくれていた三郎がいないということは、雷蔵にとって寂しいことであったが、自分の我儘で他の部活に迷惑をかけるわけにはいかないので、しかたないことだと溜め息をついた。
三郎にだって事情はあるのだから。


雷蔵は三郎とコンビニに行った時以来、マシュマロを常に持っているようになった。
十分休みも昼休みも、柔らかいマシュマロはさらに柔らかそうな色付いた雷蔵の唇に挟まれる。
三郎はそれを見ていて気が気じゃない。

「・・・雷蔵、マシュマロそんなに好きだったか?」

三郎がじと目で雷蔵に尋ねると、雷蔵はなんて顔してるのといわんばかりに三郎のおでこをついて、またマシュマロを口に含んだ。

「なんていうか・・・はまっちゃった、この柔らかさが好きだな。」

俺の唇のほうがはまるぞ。

なんていった瞬間、今まで築き上げてきた何人たりとも入れない親密な親友関係が音を立てて崩れていくのが目に見えるように分かっているので、三郎は黙っていた。

どうせ自分は切望する雷蔵を手に入れることはないのだろうから、告白してくる女達を雷蔵と思って付き合うのが常で、それも虚しくなってすぐやめてしまうし、そんなことしても女達は自分の優秀でとっつきやすいと、もろウソっぽい仮面を信じて後を絶たず告白してくる。

毎日がつまらなかった.
もう、雷蔵とはどんなに濃厚な『親友』としての関係でも満足できなくなっている自分。
雷蔵を見れば欲情して、髪に触れたくて、頬をなでたくて、首筋に噛み付いて、乱れる雷蔵を抱きすくめ押し倒し、唇を奪う・・・なんてことばっかりな映像が頭の中をめぐって自己嫌悪に落ち込む。

どうすればいいのだろう、もう自分は病気かもしれない。
雷蔵の輝く笑顔が眩しくて、目を細めてしまう、そんな自分が悲しい。

「・・・俺も食いたい、雷蔵食わせて。」

「この年になっても三郎は甘えんぼなんだから・・・困るなぁ。」

雷蔵はくすくす笑って俺の口にマシュマロを運んでくれた。
俺はこのまま雷蔵ごと食べてしまえたらと思って、雷蔵の指の先まで唇に挟んだ。



タァンッ!!

部長の長次は流石というか、いつも的のど真ん中を外したことはない。
きっとこんどの大会でも三年の部で優勝することは間違いなさそうだ。
雷蔵は横から弦を引く形を必死で食い入るように見ていた、なぜならまた的に当たらなくなってしまったから。

(だって、三郎が僕の指食むから!!!)

三郎の唇、肉感がリアルで、これが普段女の子の唇を包んでいるんだ・・・なんて、あぁ、自分はなんてことを!!!

「不破・・・、顔が真っ赤なのだが・・・長次が照れている、やめてくれ。」

「あぅ、あっ、立花先輩・・・っ中在家先輩もっごっ、ごめんなさいぃ!!」

雷蔵は顔を押さえて仙蔵と長次に頭を下にブンブンと振り下ろし謝る。
その雷蔵の様子に、仙蔵と長次は顔を合わせて、また何かあったのだと首を横に振り合った。
二人ともGoing my way!なタイプではあるが、後輩思いの部分もあるのだ。(ただし仙蔵はお気に入りだけ)

「不破・・・大会・・・。」

「わかってます、がんばります!!」

長次にまた少し注意されて雷蔵はヒーンと涙目で的を見すえ、弦をひく。

タァンッ!

雷蔵の矢を見て長次と仙蔵はまた首を横に振った。



「らーいぞっ!」

雷蔵の部活が終わって、それまで待っていた三郎が雷蔵に飛びつく。

「あ、三郎、お待たせ。・・・ごめんね、次の試合応援にいけないや。」

「・・・うん、俺もだし・・・。雷蔵、がんばれよ!」

三郎は雷蔵の大会があるときは必ず応援に行ったし、雷蔵も部活が入らなければ(部活があっても長次が雷蔵には休みだといって二人に気を使ってやっているし、弓道部全員もそのことには不満をもらさない。つまり理解ある公欠みたいなものである。)必ず三郎の試合に応援に行った。
だから今回のような部活が重なることは初めてだったのである。

三郎は袴姿の雷蔵が好きだったし、弓を扱っている雷蔵も大好きだった。
大会があるたびに二年の部の優勝や上位に入る雷蔵が誇らしくも嬉しくもあった、・・・親友として。
恋人だったら雷蔵を抱きしめて軽く唇を合わせるのだろうと、そのたびに心にもやがかかる。

「雷蔵、俺のために優勝とってきてくれよ!おねが~いっvv」

甘えたような声を出して雷蔵にすりつくと、雷蔵は呆れ顔で、それでも笑って三郎の頭を撫でた。

「今のとこ不調だから、どうなるかわかんないけど、がんばるよ。」

さぁ後ろに乗せてと雷蔵は三郎の自転車の後ろに座り、三郎も促されるままに運転席に座ってペダルをこぎだした。
夕日がまぶしくて、風が髪を弄んで、何より雷蔵の肩に置かれた掌が、暑い気候の中でもとても心地よかった。




大会の日、雷蔵は今まで以上に不調だった。
まだ自分の番ではないからいいものの、練習しても練習してもよくて的の端にしか当たらない。
まるで入りたての一年のようで、春の大会で優勝をした本人が、こんなににも不調とはと、応援に来ていた仙蔵は驚いた。

「・・・長次、どうした不破は。いつも以上に酷いデキじゃないか。」

仙蔵の問に長次は重く口を開いた。

「・・・今日は・・・鉢屋がいない・・・。」

「!!!」

その言葉に仙蔵はあたりを見回す、確かにいつもは『雷蔵ー!!』と叫んでいるアホがいない。
しかし、まさか、そんなことぐらいで、あの不破が・・・。

「・・・二人は・・・一心同体のようなものだから・・・・。」

長次は心配そうに、すっかり自信をなくし脱力して座り込む雷蔵を見た。
このままでは雷蔵の本来の実力が発揮されない、長次と仙蔵は改めて雷蔵の中の三郎の大きさに気が付いた。



「くそ~~~っ!!!うまくいかねぇ~~~~!!!!」

「おいー鉢屋どうしたんだよー・・・。いつものお前じゃねぇよー。」

一方三郎も絶不調だったようで、ボールはバットにかすりもせず全くヒットは打てないし、ボールは取れないでトンネルするしで、いつもの三郎からじゃとんでもない失態だ。
野球部はこの試合、対して大事ではないのだが、これからの試合相手にうちのチームは強いんだぞと威嚇しておきたかったのである、・・・子供だましな感じもするが。

三郎は自分がこんなに最悪な状態になっている理由が分かっていた。
雷蔵が応援してくれていないからである。
あの雷蔵の『三郎がんばってー!』という声援と、笑顔で手を振ってくれている姿がないと調子がでない。
自分の活躍は雷蔵あってのことだったのだと今思い知る。
雷蔵も今頃自分と同じで不調かもしれない、雷蔵は自信をなくすと要領が悪くなるので、もっともっと悪い状態になっていくことを三郎は知っていた。

雷蔵、大丈夫なのか。
落ち着いて弦がひけているのか。

三郎の頭の中は雷蔵でいっぱいで、もう野球どころではなかった。

「あ~~~・・・!!!わりー俺もう帰るーーーー!!!!」

「あっこら鉢屋ーーー!!!不破に会いに行くつもりだろーーーーーっっっ!!!!」

そんな野球部の友達の叫ぶ声を、背負ったバックの後ろから聞き、三郎は雷蔵の元へ走った。
雷蔵の応援を声を張り上げてしたかった。



三郎が走って雷蔵の大会の会場についたときには既に三年の部になっていて、その三年の部も長次が決めて優勝がきまったところだった、つまりは大会の最終盤だったのである。
三郎は自分の足の速度の限界まで挑戦したが、雷蔵の番には間に合わなかったことが悔しくてしょうがなかった。
わぁぁーっと盛り上がり出した会場がうざったく感じた。

「何がワーだよっ!!くそっ!!!」

「どしたの三郎。」

荒く呼吸をして壁を叩いた三郎の後ろから、袴姿の雷蔵が現れる。
いきなりのことに三郎は驚いて、勢いよく後ろを振り返って雷蔵の肩を掴んだ。

「雷蔵っ!!どうだった?!うまくいったか?!」

「・・・・・・・。」

雷蔵が途端に顔を暗くしてゆっくり下を向いた。
三郎は雷蔵のその様子からあまりよくない結果だったのかと思った、
・・・が。

「なーんてっ!!ちゃんと優勝したよっ!!」

「・・・は?」

イエイイエイと両手でVサインを作って、本当に嬉しそうに三郎に笑いかけた。
三郎はガタリと片肩を落として、拍子抜けする。

「三郎のおかげ、ありがとーっ!」

そういって雷蔵は三郎に飛びついたが、三郎は何が何だかわからずにされるがままだ。
いつもは自分からじゃれてこない雷蔵が自分に抱きついてくるなんてと、ただ今自分はとてつもなく幸せなことだけはわかっていたが。




「仙蔵、いつの間に鉢屋の写真を・・・・。」

「不破がこんなにも鉢屋に依存してるとは思わなかった。」

今回の黒幕はこの人である。
しかし、自分の長次も、不破も優勝したことだし、まぁいいかと、雷蔵の『あれ?三郎まだ野球の試合の途中じゃないの?』という声を聞きながら、自分の中で納得していた。




「不破、今日は鉢屋がいないからそんななのか?」

雷蔵は目に溜まった涙を拳でぬぐいながら、仙蔵を見上げる。

「・・・わ、かりませっ・・・っ・・でも、とってもっ・・・不安でっ・・・!!」

仙蔵は雷蔵の泣き顔がとても切なく感じて、懐からスッと一枚の写真を出した。
そして、泣く雷蔵に渡す。

「これは・・・。」

「このアホの写真、不破、お前にやろう。今回ばかりはコイツをアホと思え。見た目は一緒だ。」

「・・・三郎。」

写真の中の三郎は、雷蔵を応援している時の顔と同じ笑顔で、『雷蔵ー!』とそんな声さえ聞こえてきそうなほど鮮明に見えた。
雷蔵はその写真をそっと抱き、上を向いてすぅっと深呼吸をした。
頬を流れる涙は止まっていて、下ろした顔、開いた瞳はしっかりしている。

「・・・立花先輩、ありがとうございます。」

やんわり笑い写真を胸元に入れて、雷蔵は弓を持ち、立ちあがった。
そのとき長次と仙蔵は、やっと胸を撫で下ろしたのである。

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