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忍たま乱太郎の5年生コンビを中心に取り扱った同人ブログです。最近は雷蔵がアイドル状態。 女性向け表現がありますので注意してください。
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「雷蔵。」

「さぶろ・・・あっ。」

「惜しい、頭に留が欲しかったな。」

あけた襖にもたれながら留三郎が笑った。
雷蔵と留三郎の生活は何も問題なく続いていた。
留三郎は優しかったし、雷蔵をよく気遣ってくれた。

雷蔵は留三郎の厚意を嬉しく思いつつも、
申し訳なく思った。
どんなに良くしてくれても、心が晴れないのだ。

留三郎のことは嫌いじゃない。
しかし、好きかといわれればそうでもない。

そんな自分に尽くしてくれる留三郎。
考えれば考えるほど、胸が苦しくなる。

そんな雷蔵の気持ちを知ってか知らずか、
留三郎は雷蔵を後ろから優しく抱きしめる。

「雷蔵、ここの暮らしには慣れたか?」

「はい、よくしてくださって。ありがとうございます。」

「そうか、よかった。何かあったら俺に言ってくれ。
 出来る限りのことはしてやりたい。」

「はい、わかりました。」

雷蔵はゆるりと笑った。






三郎は一般の使用人と変わらぬ扱いを受けていた。
不破家にいた頃は、雷蔵の身代わり役というのもあって、
一般の使用人の地位(というのも変だが)よりも
もっといいものだったのだが。

「これでは雷蔵と顔を合わせられない。」

雷蔵に会いたいと三郎はため息をつく。
大きな門の前でこない敵襲を客人を待って一日が終わる。
何とつまらぬ毎日だろうかと、嘆いた。
自分はこんなことをするためにここに来たんじゃないのに。



そんなある日、三郎に転機が訪れる。

「じゃぁ俺と雷蔵はこの辺りを散歩してくるから。」

「いってらっしゃいませ。」

そう言って門をでる二人を見送る。
綺麗に着物を着た雷蔵が自分より随分と遠くに見えた。
雷蔵も久々の三郎を見て近寄ろうとしたが、
留三郎に肩を抱かれてそれは叶わなかった。

その時。

「!危ない雷蔵様、留三郎様!」

「な、何?!」

トトトッと足元の地面に手裏剣が刺さる。
三郎が後ろから二人を引っ張っていないと本人たちに刺さっていたそれ。
ほー・・・としりもちと小さなため息をついて、雷蔵が後ろを振り返る。

「ありがとう三郎、助かったよ。」

「いいえ、私は仕事を全うしたまで。」

「留三郎様ー雷蔵様ー!」

家の中から使用人たちが大勢駆けつける。
やれ怪我はないか、やれ気分は悪くないか、訊ねて訊ねて訊ねまくる。
しかも留三郎にばかりである。
やはり嫁といっても部外者だった雷蔵にはまだ人望はないようであった。
それを目の当たりにして少々落ち込んでいる雷蔵を
三郎は後ろから優しく抱きしめた。

「大丈夫、私がいるじゃないか。寂しくないよ。」

「・・・うん、でも三郎は最近僕の隣にいてくれないもん。
 寂しいよ・・・とっても寂しい・・・。」

二人の様子を使用人の頭の間から見ていた留三郎は目をきっと吊り上げる。
雷蔵と三郎は幼い頃からお互いを知っている良い親友なのは判っている。
しかし、こう穏やかな二人の雰囲気を見ると嫉妬心からか焼いてしまう。

「お前、雷蔵に何をしているんだ!離れろ!」

留三郎の怒鳴った声に使用人達もビクリと肩を跳ねさせる。
その間に使用人達の輪から抜けて雷蔵と三郎に近づいていく。
三郎はぱっと雷蔵を離して留三郎に頭を下げた。

「申し訳ございません、雷蔵様が怯えていらっしゃいましたので、
 宥め、慰めておりました。」

「そんなことは俺がする。必要以上に雷蔵に触れるな。」

留三郎の言葉に雷蔵が眉を寄せる。
悲しげな表情に三郎は反論をせずにはいられなかった。

「しかしながら、私は元々雷蔵様に使えていた身。
 雷蔵様の不安を取り除くことは私の役目でありました故・・・。」

「今は俺という夫がいる!本来ならお前は・・・!」

「留三郎殿!」

留三郎の言葉を遮るように雷蔵が呼ぶ。
着物の袖を引きながら留三郎の視線をこちらに向かせた。

「どうか三郎の無礼を許してあげてください。
 それに三郎がいなければ僕達は今頃着物を血で汚しています。
 手裏剣が飛んできたということは、まだ食満家と不破家の仲を
 壊そうとしている者がいるということです。
 
 それで今度からは三郎を僕達の側近兼護衛にすると言うのはどうでしょう?
 今回の三郎の行いを買って・・・ね、お願い、安心して貴方といたいんです。」

うぅ・・・と留三郎は唸ったが、しぶしぶコクリと首を縦に振った。
雷蔵はニッコリ笑って留三郎に礼をいい、三郎にも微笑んだ。

こうして雷蔵のおかげで三郎は雷蔵の側近となれたのである。





それから雷蔵と三郎はべったりになって、
夫の留三郎は全く面白くなかった。
雷蔵が街に行くといっては三郎も護衛と言ってついていき、
雷蔵が河へ水遊びに行くといっては三郎も護衛として・・・。

例えお家のため娶った嫁といっても、留三郎は雷蔵を愛していた。
素直で健気な雷蔵は、今まで付き合ってきたどの女よりも素晴らしい。

「・・・あの三郎とやら・・・どうにかならないか・・・。」

「留三郎様。・・・あの不破家から連れてきた使用人ですか?」

「あぁ・・・俺は雷蔵と一緒にいたい。だがあいつがいつも・・・」

はぁ・・・とため息をついた。
留三郎に向かい合わせで頭を下げていた側近は
主人の不満をどうにか解消したいと思った。
そうすれば自分の信頼と地位はもっと上がるはずだという
下心ももちろんあったわけで。

「では・・・留三郎様・・・私に考えがございます。」

どうかお耳を・・・と側近は留三郎に耳打ちをした。
それを聞いた留三郎は戸惑った表情をしたが

「留三郎様のご希望を叶える為・・・」

と諭され、首を縦にゆっくり振った。
その方法がどんなに卑劣かも考えず。




ある日三郎は調査を言い渡された。
食満家と不破家の仲を疎ましく思う者の目星がついたとのことで、
しかしそのまま制裁を行うのも証拠がない。
そこで忍びとして仕事ができる三郎に白羽の矢が立ったのである。

「事態が深刻なら証拠がつかめ次第つぶしてしまって構わない。
 頼んだぞ、三郎。」

「御意。」

そうして三郎は食満家を出た。
雷蔵は隣にいた三郎がいなくなって、寂しい思いをしていた。
そして久々に留三郎は雷蔵を抱き寄せる。

「三郎なら大丈夫だろう。お前の護衛だからな。」

「でも、留三郎殿、心配です。」

「大丈夫・・・な、雷蔵・・・今宵は・・・。」

夫婦といっても交わったことのなかった二人。
雷蔵はこれから行われる行為の重さが分からなかった。
だが着物を剥がれ、肌を合わせることが、こんなに。
こんなに不快なものとは、知らなかった。

留三郎殿が嫌いなわけじゃない。
留三郎殿も僕を愛してくれている。

最中ずっとそう思っているのに、浮かぶのは三郎の顔。
繋がったとき、零れた涙は。
それは、生理的なものでも、感動のものでもなかった気がする。





その頃三郎は。

「・・・初めから嵌めるつもりだったのか、あの食満の当主は。」

口元に内出血を作って縛られていた。

指定された屋敷に向かうと、そこは荒れた廃屋。
おかしいと思いつつも、雇われた野盗でもいるかもしれないと
中に入ったのがいけなかった。
無臭の極少量の毒霧だったため、防毒面をした頃には遅く、
濃度の高い毒霧に身体が痺れ出す。

そこに数人の食満家の使用人がきて三郎を殴って縛った。
普通の状態の三郎なら一瞬で殺せた一般の者。
そんなやつらに殴られる屈辱といったら。

「留三郎様はお前が嫌いらしくてな・・・嫁の雷蔵様が
 お前にとられてしまうのが気に食わないらしい。
 ・・・全く、お前といい留三郎様といい、あんな男女の
 何処がいいのか全く分からんが・・・」

「雷蔵を悪く言うな。殺すぞ。」

「縛られた状態のやつにすごまれてもなぁ・・・。」

くくっと笑う側近。

「そろそろ留三郎様に知らせが届く頃だ。」





控えめな灯篭が灯る褥。
そこで雷蔵の髪を愛おしそうに手櫛で梳く留三郎。
雷蔵は寝たふりをして、留三郎に背中を向けていた。

「留三郎様・・・。」

使用人がすっと現れて頭を下げる。

「三郎は・・・。」

「はい、上手く捕らえまして、いつでも・・・。」

「そうか・・・、じゃぁ・・・。」

「では、首はどうなさいますか?」

「・・・つけたまま、遺体と処分しろ。」

「どういうことですか?」

ムクリと雷蔵が身体を起こした。
眠っていると思っていた雷蔵がいきなり起き上がり
声を発したことで留三郎は心臓が口から出るかと思うほど驚いた。

それ自体に驚いたのではない。
この話を雷蔵が聞いていたということに驚き焦っていた。

「留三郎殿、三郎は刺客の調査に出たのではなかったのですか?」

「雷蔵、これは・・・!」

「留三郎殿・・・、見損ないました。」

「雷蔵!」

雷蔵の投げた着物はバサリと音を立てて留三郎の顔を覆った。
立ち上がり歩き出した雷蔵の顔は凛々しく、
軽い小袖に腕を通し、髪を結い上げると、
そのまま闇へと溶け込んでいってしまった。

留三郎は何も言えず、ただその姿を見つめるしかなかった。





「そろそろ留三郎様の命令を伝える者が来るだろう。
 今のうちにしっかり念仏でも唱えていろ。」

三郎を見下ろして醜く笑う。
三郎の身体の痺れはなくなってきていた。
後はどうスキをついてこいつらを討つか。

(まぁ、考えずとも殺すのは一瞬だが。)

憎たらしくも、自分を縛る縄はきつく固い。
縄抜けに慣れているといってもこれは難易度が高い。
関節をずらして爪に仕込んだ刃で少しずつ切るのが一番だと
先ほどから徐々に縄を削いでいるのだ。

(私が縄を切るのが先か、お前らが刀を抜くのが先か・・・。)

そうしていると伝令役が来た。
チッと三郎は舌打ちをして、爪に力をもっと込める。

「おぉ、来たか。して、留三郎様の命令は?
 やはり最初と変わらず殺すのだろう?」

「いや、殺すのは・・・」


バサリ、と頭巾を取ったかと思うと、
そこには三郎と同じ顔が現れる。

「なっ?!」

そんな状態に困惑してスキが出来たのを見逃さず、
雷蔵は側近の鳩尾に重い拳をくれてやる。

「お前達だ。」

雷蔵は冷たくそう言い放つと刀を抜いた。
雷蔵に向かってくる使用人を軽く切り、三郎の姿を確認する。

「三郎・・・!」

縛られた三郎を助けようと雷蔵が無防備に駆け出した。
相手は軽く刀傷を負っただけでまだまだ動ける。
そのスキを相手がつかぬはずがない。

「ダメだ!雷蔵、後ろ・・・!」

雷蔵に振り下ろされる拳よりも早く。
三郎は縄を掻き切った。

一瞬で抜かれた刀は相手の首元を切り
刃を血で滴らせる。
雷蔵はよろけて三郎の腕の中に収まる。

愛しい人のぬくもり。
何を犠牲にしても守らなければならないと思ったもの。

「雷蔵・・・!どうしてこんな危ないところへ・・・!」

「留三郎殿の言葉を聞いたんだ、三郎を殺すって・・・!」

心配で・・・とその言葉の先は三郎の唇に吸い取られた。

やはり自分には三郎しかいないのだな、とその時雷蔵は肌で感じた。
三郎が愛しい。
牢の中にいたときも、ずっとそう思っていた。

でもその気持ちに何と名前をつけていいのか分からなくて。
何とも思わない他人と結婚して初めて気づいた。
交わって、さらに思い知らされた。

「お前が好きだ!」

「・・・私も、愛してる!」

三郎の背中に抱きついた。
三郎も刀を鞘に納めると振りかえって雷蔵を抱きしめた。

そのときには回りは血の海で。
純情なこの愛に似合わなかったけれど。
それさえかき消してしまえそうなほど、綺麗な。

「なぁ、三郎・・・わかってもらえないかもしれないが・・・
 地下の暗闇しか知らなかった僕には、お前が唯一の光だった。
 外の世界を見たとき、お前と変わらない眩しさだと思った。
 
 しかし・・・今はお前の方がずっと輝いて見える・・・!
 僕の光はお前だ、三郎!」

「嬉しい・・・!雷蔵からそう言ってもらえるなんて・・・。
 でも、血で汚れた私が、まだ輝いて見えるかい?
 汚いことを知りつくした私でも、君に触れていいのか?」

雷蔵の腰を抱いた三郎は不安げな表情だった。
自分の返事を待ってこんな表情をしているのかと思うと、
少し身体がゾクゾクする。

「・・・もちろんだ、帰ろう、不破の家に・・・!」

三郎の胸に顔を埋める心地よさを知った今。
留三郎の元へ帰られるとは思えない。
自分と三郎の間に入れる人間などいなかったのだと。
雷蔵は頬を摺り寄せてそう思った。





食満家とは離縁という形をとったが、
留三郎からまだ文は届く。
それを雷蔵は開こうとしなかったが、
静かに自分の机の左の引き出しにしまうのだ。

「いつか閉まらなくなるぞ。」

そういっつも渋るのは三郎。

「いいじゃないか、思い出だよ。」

そういって笑うのは雷蔵。

「それに僕はもうお前のものだから・・・。」





留三郎殿、お元気ですか。
 
こちらは光に満ち溢れた生活を送っております。

僕は今、とても幸せです。

どうか貴方も、早く僕を忘れて、お幸せに・・・。





終わり!

clap-5nen.gif

*********************************************************************************

無理矢理終わらした感満載!
しかも食満報われない!汗
書いてる途中に自分でもわけわかんなくなって、
もう全部『光』ごと消そうかと思ったけど、
せっかく書いてるんだから・・・と思ってUPしました。

後で消すかもしれません。(´ω`)
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